第10回 附.講演要旨集前言

特別講演

1.東京 小池盛夫「二つの五蔵配当」

一般口演

1.秋田 堀江 奨「『霊枢』諸版本の音釈」
2.東京 高木伸博「『類経』と『素問』『霊枢』の字句の異同(第二報)」
3.神奈川 平根弘治「内経系医書と日本語 ―冷え症の考察を中心に」
4.神奈川 家本誠一「経脈について(第二報)」
5.宮城 浦山久嗣「血脈考」
6.宮城 浦山きか「『説文解字』の身体部位」
7.宮城 荒野さやか「「涕」について」
8.愛媛 ○谷口一也 益田修 山見宝 山岡傳一郎「排尿障害に関する穴位主治条文の検討」
9.京都 角村幸治「『明堂』系の輸穴名について」
10.東京 篠原孝市「六朝の鍼灸について」
11.京都 杉浦 雄「『十四経絡発揮和解』所載の鍼灸書」
12.岐阜 宮川隆弘「『鍼灸抜萃大成』について」
13.京都 鶴田泰平「『続名家灸選』『名家灸選三編』所収灸法の典拠」
14.京都 高島文一「台州先生減飲論」
15.茨城 荒木ひろし「「独嘯庵先生直筆書入注解・傷寒論注文」の考察」
16.神奈川 竹内 尚「『温知薬室蔵府図』について」
17.愛媛 寺川泰世「隋唐以前の経穴主治における小児病證驚癇について」
18.広島 河元秀夫「癲癇の鍼灸について」
19.京都 木場由衣登「『千金宝要』の鍼灸」
20.神奈川 上田善信「『秘伝眼科龍木総論』巻八・鍼灸経について」
21.京都 中川俊之「『脈経』と隋唐医書の脈證比較~中風~」
22.京都 本田英子「妊娠の脈状の変遷 ─三国以前を中心として」
23.神奈川 吉岡広記「妊娠の脈状の変遷 ─隋唐期を中心として」
24.東京 八木素萌「『薬註難経』四難註をめぐる関連問題など」
25.大阪 山﨑陽子「竇黙の鍼法について」
26.東京 中井将人「易水学派の経脈」
27.愛媛 寺川華奈「『本草権度』について」

講演要旨集前言 日本鍼灸臨床文献学会 篠原孝市「第10回学術大会にむけて」

1

 本学術大会も、はや10回目を迎えることとなった。これまで本学会ならびに学術大会開催を支えてくださった関係各位に、改めて心より御礼を申し上げたい。

2

 この機会に、私たちがこれまで志向し、かつ今後とも理念として目指すべき学会の在り方と、現在の問題点につき、基本的な考え方を述べておきたい。
 本来、こうした学会は各役職、事務局といった機構を持ち、きわめて慣習的な方法と経緯で運営されることが一般的である。私たちの学会にも創立以来、それに類したものは存在する。ただし、それはあくまでも学術大会を継続的に開催するための実行委員会のごときものであり、それ以上の意味を持ったことはない。本学会を研究発表と学術交流のため以外の、無意味な業界政治の場に変えないため、これは今後とも必ず維持される必要がある。現在までのところ、本学会の主要な事業は一年に一度の学術大会のみであるが、そのための費用は、大会参加費と後援組織からの持ち出しでまかなわれており、余分な会費の蓄積などは行われていない。これも先に記したと同じ理由により、継続されるべきであろう。学術大会運営の大半は、明治鍼灸大学のOB並びに学生を中心とする若手メンバーのボランティア活動により担われているが、そのメンバーの多くは学術大会の講演者でもある。参加者が同時に講演者であるような、こうした運営方法は、私たちが意識的に行っているもので、その方法の徹底は、私たちの学会の目的に合致するものである。私たちは講演者と聴衆(一般参加者)の距離を出来るだけ無くしていきたいと考えている。一方的に講演者の言説を拝聴するだけではなく、参加者が同時に講演者であり、討論参加者であるような形を現実化すること、活発な対話と意見交換の場を形成すること、これが私たちの考える学会の在り方である。
 本学会の今後については、課題も少なくない。例えば、しばしば指摘される通り、学会誌の不在は大きな問題である。これは財政的理由よりむしろ編集作業的な理由によるが、今後緊要の課題として改めていきたい。

3

 私たちは、このたびの第10回大会をひとつの区切りとして、今後、新たな展開を果たしていきたいと考えている。今後ともご支援、ご協力を心よりお願いする。

2002年11月23日
日本鍼灸臨床文献学会 実行委員会

 大会日程:2002年11月23日~24日 大会会場:京都会館 会議場
主催:日本鍼灸臨床文献学会 後援:日本鍼灸研究会