第6回 附.講演要旨集前言

特別講演

1.東京 小曽戸洋「多紀元簡の業績」
2.三重 安井廣迪「日本鍼灸の古流について」

一般口演

1.神奈川 上田善信「金元鍼灸における『衛生宝鑑』」
2.東京 北江龍也「『類経図翼』と明代医書の病證」
3.東京 篠原孝市「『千金翼方』の鍼灸」
4.宮城 松木きか「馬王堆出土脈書について」
5.東京 申英秀「綿陽出土の鍼灸木人より見た中国古代医学」
6.兵庫 山本惠美子「黄帝三部鍼灸甲乙経序に就いて」
7.鹿児島 藤木 実「『甲乙経』巻七第四の「太陽中風」について」
8.宮城 ○小川はるな 甲斐淳子「『黄帝内経霊枢』における“刺法”と“鍼法”」
9.宮城 児玉大助「『黄帝内経』における“宗気”について」
10.宮城 伊藤真佐子「“奇経八脈”の行方」
11.岐阜 宮川隆弘「『医経会元』鍼灸原枢について」
12.愛媛 ○真鍋明生 門田真奈 山見宝 光藤英彦「後谿穴の単位主治条文を検討するに参考になると思われる一症例」
13.愛媛 ○上郷樹夫 山岡傳一郎 後藤英行 若林秀治「聴宮穴の灸で耳鳴りが改善した症例」
14.神奈川 家本誠一「聖人の治病」
15.茨城 荒木ひろし「倉公・淳于意の「診籍」初探」
16.石川 劉園英「『傷寒論』における体質学説」
17.東京 小池盛夫「人迎脈口診異論」
18.東京 依田良宗「『素問』三部九候の基礎・第一報」
19.京都 中川俊之「『脈経』中に見られる脈状の背景~脈診から診断学へ~」
20.宮城 浦山久嗣「『難経集注』の丁注について」
21.京都 高島文一「『医学天正記』の中の鍼灸」
22.大阪 森秀太郎「江戸時代流派の鍼法」
23.兵庫 中塚克訓「近畿の主要図書館における鍼灸書の蔵書調査報告」
24.京都 東郷俊宏「隋唐期医書における「少気」概念について」
25.東京 中井将人「『内外傷弁惑論』の傷寒」
26.京都 寺川華奈「『大成論』について」

講演要旨集前言 日本鍼灸臨床文献学会 篠原孝市「第6回学術大会について」

1

日本鍼灸臨床文献学会は1993年3月に第1回の学術大会を開催、以降1996年まで年1回、春に京都で学術大会をもつことを恒例としてきた。1997年春は中国への研修旅行のため、国内での学術大会は開催されなかった。そこで同年冬、私たちは古典医学と文献についての学術発表会<鍼灸考’97 IN KYOTO>を企画してそれにかえた。このたびの第6回大会は、臨床文献学会としては2年ぶりの開催である。
今回、私たちは従来からのやり方に幾つかの変更を加えた。第一に、開催の時期を初春から初冬に移した。これは参加者にとってより参加しやすい時期を考慮した結果である。また自主性を強める措置として、後援を私の主宰する日本鍼灸研究会に変えた。したがって、今回以降、学会の全ての事柄は私たち運営メンバーの責任性のもとに行われる。内容は私たちが当初構想したそれに近いものに純化しつつある。もちろん、解決すべき課題は少なくないが、私たちは今後のことについて全て楽観的である。

2

私個人の考えでは、今後の臨床文献学会は組織を目指すのではなく、むしろひとつの運動として継続されるべきであると思う。運動である以上、本学会はその意義を認め、その継続に努力する個々人の意志、行動、努力によってのみ維持されなくてはならない。それとともに、私たちは、現在の様々な組織や人間関係とは別のかたちの、新しい協力関係を絶え間なく模索していきたいと思う。必要なことは多様な連携であり、新しい人材の養成と発掘である。

3

東洋医学、中国医学、伝統医学、それを何と呼んでもよいが、現存する膨大な中国・朝鮮・日本の古典文献に支えられた医学が存続する限り、文献の考證とその現在へのフィードバックは不可欠である。また、それらの研究が自由に交流し刺激しあえる場所もなくてはならない。臨床研究と文献研究がほとんど接点を持たないような現今の状態は、この医学の正しい姿とは言い難い。私たちによる臨床文献学会の維持と継続が、そうした状況に対する一石となれば幸である。

4

今回の学術大会に演題を提出し、あるいは座長を引き受けてくださった多くの関係諸氏、学術大会に参集された方々、そして運営に協力してくれている日本鍼灸研究会、關西鍼の會、東京鍼の会の会員に心から感謝する。

1998年11月4日

 大会日程:1998年11月28日~29日 大会会場:ハートピア京都(京都府立総合社会福祉会館)
主催:日本鍼灸臨床文献学会 後援:日本鍼灸研究会